慢性じんましん
症状
慢性じんましんは甲状腺疾患やある種の膠原病などが原因で生じることもありますが、多くは原因が特定できない原因不明の「特発性」慢性じんましんです。じんましんに伴うかゆみが強い場合には仕事に支障が出たり眠れなかったりする場合もあります。
治療
急性・慢性じんましんとも、治療の第1選択は「抗ヒスタミン薬」(かゆみ止め)です。抗ヒスタミン薬の飲み薬だけで症状が改善する場合が多いのですが、症状が治まらない場合は、抗ヒスタミン薬を増量したり、複数の抗ヒスタミン薬を併用したりします。それも効果に乏しい場合には他の薬(H2受容体拮抗薬、抗ロイコトリエン拮抗薬、トラネキサム酸、漢方薬など)を追加したりします。しかしそれでも症状が治まらない治療抵抗性の特発性慢性じんましんに対し、2017年3月より抗IgE抗体であるゾレア®皮下注射が保険適用になりました。青森県立中央病院勤務中、多数使用していたこともあり、当院でも2021年4月よりゾレア®による治療を行っております。
ゾレア®
- ゾレア®はじんましんに関与している血中遊離IgEに結合することにより、IgEが肥満細胞受容体に結合するのをブロックすることで肥満細胞の活性化を抑え、蕁麻疹が起きるのを防ぎます。
- 通常、成人及び12歳以上の小児に対し、医療機関にて1回300㎎(150㎎シリンジ2本)を4週毎に皮下注射します。
- 薬剤費が高価であり(300㎎で約58,000円)、3割負担の方で1回の自己負担額が約17,000円かかります(2020年4月に薬価が改訂され、以前よりは自己負担額が10000円ほどお安くなりましたが)。
- 2021年8月より在宅自己注射ができるようになりました。ご本人が自分に注射しても良いですし、家族の方に注射してもらっても構いません。何度か看護師から自己注射のやり方を指導してもらい、可能な状態となれば処方します。最高で3か月分(月1回注射なので3回分)の処方が可能です。仕事や学校の都合で月1回の通院が困難な方、遠方に住んでいる方には非常に良い方法です。
- なお、ゾレア®は「特発性の慢性蕁麻疹(既存治療で効果不十分な患者に限る)」の他、「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」、「季節性アレルギー性鼻炎(既存治療で効果不十分な重症又は最重症患者に限る)」に保険適応があります。この「季節性アレルギー性鼻炎」は”重症のスギ花粉症”のことです。
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