当院では小さな赤ちゃんからご年配の方まで、幅広い年代の皮膚の病気を全て診察・治療いたします。そのうちの一部をこちらでご紹介させていただきます。
アトピー性皮膚炎は慢性的に繰り返す発疹・かゆみと皮膚の乾燥が特徴的な病気です。子供の頃に発症することが多いのですが、大人になってから発症することも珍しくありません。アトピー性皮膚炎は遺伝的な要素、アレルギー的要素のほか、皮膚のバリア機能が弱いことも関与しており、複数の要素が関係している複雑な病気です。当院では治療ももちろんのことながら、保湿剤の使用量やステロイドの塗り薬、免疫抑制剤の塗り薬(プロトピック軟膏)などの使用方法の指導もきっちりと行います。またアレルギーに関する血液検査やアトピー性皮膚炎の病気の重さを反映する血液検査項目であるTARC値も積極的に調べております。
青森県立中央病院勤務時代、アレルギー専門医でもあることから多数の重症アトピー性皮膚炎患者を担当しておりました。しかし中には入院治療を行うような最重症な患者さんもいらっしゃいました。近年、アトピー性皮膚炎に対する新たな全身療法がいくつか出てきており、以前に比べ重症化することなくコントロール出来る患者さんが増えてきている印象です。
じんましん(蕁麻疹)とはかゆみを伴う赤いみみずばれのような発疹であり、数時間で出たり消えたりすることが特徴です。この症状が6週間以内に改善するものを「急性じんましん」、6週間以上続くものを「慢性じんましん」と分類されています。
身体の片側に、ピリピリとした痛みと、これに続いて赤くて小さな水ぶくれが帯状(おびじょう)にあらわれる病気です。方言で「つづらご」と呼ぶ地方もあります。
帯状疱疹は、身体の中に潜(ひそ)んでいたヘルペスウイルスの一種、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスによって起こります。水ぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。
治療にはウイルスの増殖を阻止して治癒を早める抗ウイルス薬の飲み薬のほか、痛み止めの飲み薬・坐薬・注射、塗り薬が用いられます。早めに皮膚科を受診し抗ウイルス薬を服用することが大切です。
水ぼうそうにかかったことがある方の帯状疱疹予防として、帯状疱疹ワクチンがあります。50歳以上の方は接種可能ですので、接種をお勧めします。
にきびは毛穴の出口が詰まって毛穴の中の細菌(アクネ菌)が増殖することで発生すると考えられています。症状が進んでいく過程でいくつかの種類があり、それぞれのにきびの症状に合わせて適切な治療をしていくことで、症状の改善が見込めます。
にきびは症状が出る時期により、「思春期にきび」と「大人にきび」に大きく分かれます。思春期にきびは20歳前後くらいまでの方にできやすく、皮脂の過剰な分泌で毛穴が詰まることにより発症します。ホルモンバランスの変化も関与しているとされています。大人にきびは20歳以降の方にできるもので、主に肌の乾燥やストレス、食生活(脂っこいもの、甘いものを好む)などが原因で発症します。
にきびをそのままにしておくと毛穴の中でアクネ菌が増えて炎症を起こし、赤くなったり痛くなったりします。更に悪化すると膿(うみ)を伴うこともあります。その場合にきび跡が残る可能性もあります。 近年、にきびの治療薬は多く認可されており、当院では様々な治療法を取り入れております。塗り薬が治療の基本ではありますが、にきびの状態に合わせ飲み薬(抗生物質、漢方薬、ビタミン薬など)、赤外線治療も併用しております。そのほか保険外診療とはなりますが、古い角質を取り除くことにより毛穴の詰まりが取れ、にきびを改善させるケミカルピーリングも行っております。ピーリングにより皮脂も除去されてさらっとした皮膚になります。ご希望の方はスタッフまでお尋ね下さい。
巻き爪は爪が曲がって丸くなる状態です。陥入爪は爪の端が周りの皮膚に刺さっている状態であり、時に炎症や化膿を伴い痛むこともあります。巻き爪と陥入爪は合併することもよくあります。原因としてはパンプスやヒールなどの先端が細い窮屈な靴、不適切に爪を切ってしまい深爪となること、指先に大きな負担のかかる運動や仕事などが挙げられます。
多汗症には、「全身性多汗症」と、「局所多汗症」があります。また、他の病気に伴って起こる「持続性」と、原因の分からない「原発性」があります。ここでは、「原発性局所多汗症」について記載します。
円形脱毛症は円形の脱毛斑を生じる皮膚疾患であり、頭部に最も多く見られますが、眉毛や睫毛(まつ毛)にも見られることがあります。人口の1~2%の人に発症すると言われており、また15歳以下の小児にも散見されます。
脱毛部が1箇所だけの単発型、2箇所以上の多発型のほか、主に髪の生え際が帯状に抜ける蛇行型や、頭髪全体が抜ける全頭型、全身の毛髪が抜ける汎発型などもあります。
円形脱毛症が発症するしくみについて。円形脱毛症患者さんの毛根(毛を作る工場)では、遺伝や感染などの何らかの誘因により、毛根への攻撃信号を伝えるサイトカインが過剰に作られ、免疫細胞が毛根を攻撃しています。免疫細胞による毛根への攻撃により毛の成長が阻害され、毛が抜けてしまいます。
男性型脱毛症はAGA(エージーエー)と呼ばれます。主に男性ホルモンの影響が大きいとされており、男性ホルモン「テストステロン」と5α-還元酵素が結合してできた「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンが発症に大きく影響しています。日本人の男性の場合には、20代後半から30代にかけて症状が出現し徐々に進行していきます。現在では日本人男性の約30%に発症するとされており、年齢とともに発症頻度や進行速度が上がっていきます。またAGAは遺伝するとも言われております。なるべく早く治療を開始することをお勧めします。
AGAの診断・治療に関する専門の診療科は皮膚科です。最近は美容皮膚科、美容外科の他、皮膚科以外の科が専門の医院・クリニックなどでも治療を受けることが出来ますが、特に「診断」に関しては様々な脱毛を熟知している皮膚科専門医で受けるべきだと思います。当院では日本皮膚科学会より出されている「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」に準じて診断、治療を行っております。
2020年より、重症・最重症のスギ花粉症に対して、2月~5月限定で抗IgE抗体ゾレア®(オマリズマブ)を皮下注射する治療を行うことができるようになりました(保険適応です)。
スギ花粉症によるくしゃみ・鼻水が止まらない・鼻がつまるといった鼻炎症状が飲み薬、点鼻薬、点眼薬などでもおさまらず、1日中花粉症で悩んでいる方、また、飲み薬(抗ヒスタミン薬)による眠気が強く、より強力な効果が期待できる薬剤に変更・増量できないために花粉症症状がおさまらない方にとっては、検討する価値の高い治療です。
当院は耳鼻科専門ではありませんが、院長はアレルギー専門医を有しております。ゾレア®は数多く慢性じんましんに投与経験があるため、2023年シーズンより重症スギ花粉症に対してもゾレア皮下注を行うこととしました。毎春スギ花粉症でとてもつらい思いをされている方はお気軽に御相談下さい。
シミに対する塗り薬での治療は市販薬を使うよりも美容皮膚科で治療を受ける方が高い効果が期待できます。
当院ではシミに対する塗り薬として「ハイドロキノン製剤(製品名:メラノキュアHQジェル)」と、「サンスクリーン 製剤(製品名:サンプロテクトUV)」を扱っております。
シミの外用治療としてハイドロキノン製剤は強力な美白剤です。ハイドロキノンはメラニン色素産生酵素のチロシナーゼ活性を抑える働きがあり、外用美白剤の中では最も効果が期待できます。
またサンスクリーン製剤は日焼けを予防するだけではなく、長時間紫外線が当たることによって起こりうるシワやシミという光老化を抑える役割もあります。
なお、シミに対する治療は自由診療となります。メラノキュアHQジェル使用を検討される際には、まずは8g製剤をご購入、ご使用してもらい、効果を実感しかぶれや刺激感などの副作用が無いことを確認後、容量が大きくお得な25g製剤をお買い求めになることをお勧めします。
グラファ メラノキュアHQジェル | グラファ サンプロテクトUV |
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8g 3,300円(税込) 25g 8800円(税込) | 25g 1,980円(税込) |
炭酸ガス(CO2)レーザーは、ホクロや老人性いぼ、首の細かいいぼ(スキンタグ)などを局所麻酔薬で麻酔した後にレーザーで削り取る治療です。メスで切除するより出血が少なく、跡が残りにくいことが特徴です。
自費診療となります。必ず料金を確認の上、ご希望のある方はお電話もしくは直接スタッフへ御相談下さい。
ピアスの穴あけは、本来は医療行為です。しかし残念なことにピアス穴開け後のトラブルのほとんどが、医療機関以外で行われた場合です。また昨今金属アレルギーの患者さんが増えており、それが原因のピアストラブルも増えています。よってピアスの穴あけは専門知識と衛生管理のある医療機関で行うのがベストです。
当院ではブロムダール社の医療機関向けピアシング製品を使用しています。ブロムダールのピアスは金属アレルギーが非常に起こりにくい純チタンピアスであり、このピアスは芯まで純チタンが使われていることから、他のどの金属製ピアスよりもアレルギーを引き起こす可能性が低いです。また、金属アレルギー体質のある方、チタンも心配な方のために、医療用のプラスチックピアスもあります(いずれもキャッチはプラスチック製)。
ただ、ピアス自体は皮膚にとっては異物なので、純チタンやプラスチックを使用しても必ずしもピアストラブルが生じないわけでは無いことを御理解下さい。
万が一トラブルが生じた場合も、当院で診察、治療を受けられますのでご安心下さい(別途料金がかかります)。
当院でのピアス穴あけは耳たぶのみです。耳の軟骨やへそ等への穴あけは行っておりません。また中学生以下の方、ケロイド体質がある方への穴あけは行っておりません。
なお、全ての患者さんへピアス穴あけに関する同意書を書いて頂きます。また校則等で認められている高校生(卒業年の3月末まで)の場合、保護者から同意書を書いてもらった上で、原則保護者同伴での診察、処置となります。
同意書はこちらからダウンロード可能です。
お薬を処⽅する場合もありますので、受診時に健康保険証もしくはマイナ保険証を必ずご持参下さい。
ピアス穴あけの施術は原則予約なしで、受診した当日にできます。局所麻酔は不要で、処置自体は短時間で終わります。御本人の希望がなければ次回受診の必要はありません。
両耳:6,000円
片耳:4,000円
※いずれもファーストピアス代が含まれています。
※上記金額の他に、初診料2200円、再診料1100円(いずれも税込)などが別途かかります。
※純チタンピアスは石が入っている「クリスタル」と石が無いシンプルな「プレーン」のいずれが選べます。プラスチックピアスは「クリスタル」のみです。
※化膿予防のために使っていただく化膿止めの軟膏は¥550(税込)です。
光線角化症
ボーエン病(左)、粉瘤(右)
当院では皮膚のできものの部位や大きさにもよりますが、粉瘤(ふんりゅう)、ほくろ、老人性いぼなどの良性腫瘍、基底細胞癌、上皮内有棘細胞癌(光線角化症、ボーエン病)など転移の可能性がほとんど無い悪性腫瘍、悪化した陥入爪などに対し、局所麻酔の注射を使用した日帰り手術を積極的に行っております。
手術は完全予約制としており、月曜・火曜・木曜・金曜の15:30頃から行います。手術予約を取る際に、医師より手術に関する詳しい説明を手術説明書を用いて行い、了承頂けた場合手術同意書に署名を頂きます(未成年者や自分で意思疎通が困難な方の場合には家族の方の署名が必要です)。この時に原則として手術前の血液検査を行います。また当院で手術が難しい症例については総合病院へ紹介させていただきます。
なお、ホクロ(色素性母斑)やシミ、老人性いぼ、基底細胞癌、悪性黒色腫(メラノーマ)など黒色~茶色の皮膚のできものを正確に診断するため、ダーモスコピー検査を積極的に行っております。
※手術の直前に局所麻酔薬(リドカイン)を通常患部に直接注射をしますが、麻酔の注射の痛みに弱い方、苦手な方のために、最初に局所麻酔の塗り薬(エムラクリーム)を患部に塗りラップを貼付し、30~40分経ってから局所麻酔の注射を行う場合があります。但し局所麻酔の注射の痛みをゼロにすることはできません。ご希望の方は事前に医師、看護師へご相談下さい。
● 日帰り手術を希望される患者さんが増えている影響で、手術の予約枠は常に2か月から3か月ほど先まで埋まってしまう状態です。手術を希望される方は余裕をもって当院を初診されることをお勧めします(2023/8月)。
当院は西洋医学と東洋医学(漢方診療)の両方を治療に取り入れています。西洋医学だけではうまくいかない場合、漢方治療を併用すると病気が改善してくる場合があります。患者さんそれぞれの症状や体質、肌質に合った漢方薬を、煎じ薬ではなく飲みやすいエキス剤(保険適応あり)で処方しております。ニキビ、湿疹、アトピー性皮膚炎、じんましん、円形脱毛症、乾癬、掌蹠膿疱症などに処方することが多いです。漢方薬は時に素早く効く場合がありますが、通常は西洋薬と比べゆっくり効果を示すことが多いです。よって根気強く続けることが大切です。
なお、漢方の粉薬が苦手な患者さんには錠剤やカプセル製剤を処方したり、服用しやすくする飲み方のアドバイスもしております。